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すきやばし次郎 [寿司]

すきやばし次郎
中央区銀座4-2-15 塚本素山ビルB1
03-3535-3600

ご存知のとおり、日本の寿司の最高峰であり、
世界のレストランの最高峰でもあります。
先ごろ、六本木ヒルズに支店を出されましたが、この店が出すなら自分の店も出そう、と出店を決意した店もあったというくらい別格なお店。
店を一代で作り上げた小野二郎さん(78)の寿司は、「つけ台に置いた瞬間にわずかに沈む」「芸術品」と言われ、評論家の山本益弘氏は「はかない夢のような味でもあり、一生記憶に残る味でもある」と評しています。

店は、数寄屋橋交差点、不二家の二軒隣のビルの地下にあります。高級店ですが、威圧するような門構えでもなければ、広いわけでもなく、うなぎの寝床のような塩梅で、戸も常時あけはなしてあるようで、ぱっと見、敷居は低いのです。ちょっと昔のひなびた小料理屋の風情といいましょうか。
しかし、ロビュションも驚嘆したそうですが、カウンターはもちろん、椅子から、床から、キャッシャーから全てにチリひとつなく、ワックスがけでもしたかのようにピカピカなのがただの店でないことをうかがわせます。

この日は客が少なかったので、だからでしょうか、なんと二郎さんが、じきじきに握ってくれました。
おまかせで頼んで、覚えている限りでは、以下のようなメニューでした。
鯛、こはだ、赤味、中トロ、大トロ、あわび酒蒸し、茹で海老、赤貝、煮はまぐり、さより、あじ、いわし、さば、うに軍艦、小柱軍艦、いくら軍艦、穴子、玉子。

鯛、赤味、中トロまではスターターという感じで、なんということもなく口に運んでしまいましたが、まずは、小ぶりに握られたシャリの存在感に驚きました。
米の一粒一粒が固めでしっかりとしていて、口の中ではっきりと感じられます。
しかし大きすぎたり小さかったりということがないので、違和感が全くなく、ネタとの一体感はたいしたものです。

コースとしては大トロあたりから盛り上がってきました。
見事な網の目のサシが入った、松坂牛のような大トロは見た瞬間に誰もが顔を緩める、艶美な輝きを放っていました。
淑女のような気品をたたえながらも、娼婦のように官能的に口中で溶けていく様は、まさに恍惚ものです。

息もつかせず、あわびの酒蒸しが登場し、味覚を変えてきます。
これがまた、赤ん坊のほっぺのようにつるつるで柔らかいのです。
目をつぶって食べたら、特殊な樹脂かなにかときっと間違える、というのは変な喩えですが、そうとしかいいようがありません。はんぺんにも似ているのですが、それよりももっと粒子が密で、ぷりぷりと弾力があり、中華のあわびの煮物にも似ていますが、他に喩えようがない味でもあります。

こはだは、わずかに〆が強いような感じで、少し魚くささが残りました。
こういうスタイルが真っ当なのかもしれないし、寿司には詳しくないので変なことはいえないですが、これだけはあまり好みではありませんでした。

茹で海老は肉厚でぷりぷり、甘みもたっぷり。
素直に美味かったです。ほっと一息といったところ。

赤貝は美しい花びらにまず見とれます。新鮮でヨード臭が全くなく、つるつるとして、これまた赤ん坊の耳たぶのよう。

煮はまぐりは、何よりその大きさに見とれます。口にほお張った瞬間に広がる甘いタレの味、ほのかなハマグリの香り、重量感に圧倒されました。極端ですが、まるで丼物をかきこんだような満足感があって、コースは小さなヤマ場を迎えました。

さよりは、透き通った糸柳が美しく巻かれた端正な姿。淡々とした味は、濃厚なはまぐりの後で、ロ直しのソルベのようです。

次いで、あじ、いわし、さばと光物がリズム良く続きます。脂がほどよくのり、それでいて下卑ず、強い個性をやんちゃな風合にコントロールしている様子があって、そのぎりぎりのところをいくすばらしさ、口の中で自然にほぐれ、溶けてなくなっていく優しさときたらありません。

うにも上物です。粒がたっていて、大きく、濃厚でありながら、すっきりとしています。盛りはもちろんたっぷり。ここでまた一ヤマ。

小柱は二つ目の口直し。軍艦のなかに美しい玉石のように詰め込まれ、きゅっ、ぬるっとした歯ごたえ。淡白で地味ながら役割をきっちりと果たしていました。

次の盛り上がりは、いくら。これにも正直驚きました。しっかりとした皮を破ると出てくるのは、まさしく鶏卵の卵黄そのままの味わいだったからです。でも、同時に澄明な海水の端麗もあって、しつこくない。明らかに初めて味わう、別格のいくらでした。この味は忘れられません。

そして、いよいよコースも大詰めです。方形で、肉厚のいまにも崩れんばかりのずっしりとした穴子です。面積というより体積が大きいといったほうが正しい。
口に入れた瞬間にふにゅっとピューレになって、最後には、さらさらと言ってもいいきめにほどけていきます。口の中で、穴子のうまみ、タレの甘みが渦巻き、充満する肉にむせかえるようでした。

最後の玉子もやはり凄い。かなり甘いのです。かつてない甘さで、締めくくりにふさわしい堂々としたデザートです。そしてまたこの上ないほどのふわふわ感でもあります。舌と上あごでつぶすと、たくさんの細かい気泡がじゅっという感じで押しつぶされるのが分かります。それが、ほどけて、やはりさらさらとしたパウダー状の粒子へとかえっていく様は、スポンジケーキというより、むしろメレンゲに近い感触で、感動的に美味しいのです。

新しい発見、新しい味、驚きの連続でした。それにしても、二郎さんの手は早い。
お弟子さんたちとおしゃべりしながら、そっぽを向いていたり、まないたを拭く手ばかり見えているのですが気がつくと、目の前のつけ台には、一貫が置いてあるという具合です。いったいいつ握るのか、見逃してしまうくらい早い。
それとひっきりなしに、つけ台の上をふき取ってくれます。
前の寿司の味が残っているといけないという配慮らしいのですが、細かい仕事です。客を見てないようでいて、ちゃんと見ている。こちらから話しかけなければ、話すこともないし、あまりこっちを見ているようにも見えないのですが、ちゃんと客の食べるスピードで次々に出てくる。客が食べきれないと見るや、量を加減してくれる。全てあっという間に見て取り、あっという間の手わざでやってしまう。それらがおそろしいほどの簡単さでなされるのです。

ビールを1本飲んで、一人2万5千円でした。高いと見るか、納得と見るかは、人それぞれでしょうが、ただ、「はかない夢のようでもあり、一生記憶に残る味でも
ある」というマスヒロ氏の感想には同感した次第でした。


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